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この記事は2012年冬号です

小丸窯
〒399-8602
長野県北安曇郡池田町
会染渋田見7335

TEL.0261-62-6604

http://kousuke48.wixsite.com/mysite-2


 「風情があって野趣に富んでいる。そのなかに繊細で温かみのある作品をつくりたい」と話す太田孝介さん(63)は、池田町在住の陶芸家。松本市で和食店を経営していた時に、自分のお店で使うとっくりやぐいのみを作りたくて陶芸を始めたという。お店を経営しながらも陶芸の面白さに魅了された。50歳を過ぎて、好きな事をしたいとお店を売り、生まれ故郷の池田町に移り住んだ。

 池田町のアツムイ窯の森岡光男さん窯炊きを数年間手伝い、色々なアドバイスをもらいながら一人で窯を完成させたという。

 太田さんは、“焼締め”という釉薬を使わない技法で作陶をしている。自ら築いた穴窯の目の前にある梅林は、かつて江戸人が炉を作り、砂鉄を溶かしていた小丸遺跡と呼ばれる場所だったことから穴窯を“小丸窯”と命名。年に2回のサイクルで窯炊きをしている。

 「薪割りの機械を使って1年のうち2、3ヶ月は薪割りをしているんじゃないかな」と太田さん。窯の回りに積まれた大量の薪は、長野県内で伐採された赤松。ゆっくり時間をかけて、薪をたくさんくべる事で焼き物に味わいが出てくると言う。

 「窯炊きは7日間ほどかかります。僕は焼締めといって、上薬をかけないでただ焼くんです。3日間ほどかけて割れないようにちょろちょろと焼いて徐々に温度を上げていくんです」。

 灰が溶ける1250度まで温度を上げる。くべた薪が燃え切っておきになると、それが灰になって熱で焼き物にくっつき溶けてガラス状になる。それが色や艶となって、作品の“景色”となる。

 「例えば、備前の粘土は、1230度で焼いても灰がのって景色が出るけど、こっちの粘土はその温度だと吸い込んでしまって景色が出ないんです。日本全国色々な焼き物がありますけど、それぞれの土地の粘土にあった温度設定があるんでね」と太田さん。「そこらへんの微妙なところが扱いづらく難しいけど、面白い」と話す。

 土は、松本市四賀の土と池田町相道寺の純度の高い山土を使っている。灰が溶ける1250度に耐えられるように粘土をブレンドする。山から採ってきた粘土は石など不純物が入っているため、まず乾かしてから砕き、ふるいにかけて不純物を取り除くという作業もする。
 「変な話、あまりきれいすぎちゃうと均一でのっぺりして面白くないんです。少し不純物が入っていたほうが、どこか温かみがあるような気がするんです」。
 

  「荒々しさのなかにある、繊細さ」を追求しながら、作陶する太田さんの作品は、個性的な形の作品も多い。
 「一番楽しいのは、自分の頭の中にあるイメージを形にすること。お皿とか器を作る事も楽しいけれど、自分の発想で作っていく過程はワクワクします」。その形を何度も作り込んで、完成させる。最近はお城の石積をイメージしたものを多く作っている。

 「石積なんだけど、江戸になってくると整いすぎちゃってちょっと面白くないんですよ。戦国時代とかのほうがいびつさがあって好きなんです」。

 太田さんは、窯炊きの時の高揚感は別世界だと話す。
 「トータルすると1日1~2時間の睡眠が7日間ほど続くんですけど、大変と思わないんですよね(笑)。今でも毎回そういう心境になる。ほんとは24時間一人でやりたいくらいなんですけど、さすがにちょっと無理があるので兄に昼間の間少しだけ手伝ってもらっています」。12月頃に窯炊きをするため、作業場には焼く前の作品が多く並んでいる。

 「不揃いで、ちょっとひびやゆがみがあるのも風情があり優雅で良いんじゃないかと思います。でも最初から自分でゆがませて焼くのは面白くなくて、窯の中でゆがむっていうのが素晴らしいんだけど、天才にならないとなかなかできないね。そういうものを作りたいけどまだまだ。日々作り手として、作る楽しみに喜びを感じています」。




自宅敷地内にある美しい眺めの東屋で撮影。酒器や大つぼ、花器などを中心に制作している。
 
工房での作業。手回しろくろ、蹴りろくろ、電動ろくろの三種類があり、作品によって使い分けている。
 
左上が東屋、右側の薪が積まれた向こう側に穴窯がある。
 
年に2回窯炊きをする穴窯。試行錯誤し、煙道のバランスを考えながら太田さんが作った窯で、昨年作り変えた。



標高1000mの大峰高原にある
大カエデ (池田町)

 信州安曇野の北部に位置する池田町(いけだまち)は、雄大な北アルプス連峰の眺めと田園風景の美しいのどかな町。旅人がほっと癒される風景が広がっている。池田町の大峰高原にある人気スポット「七色大カエデ」は美しいグラデーションの紅葉から真っ白に雪化粧した姿に変わろうとしている。
 池田町では十窯13人の陶芸家で、2011年に「土と炎と彩の町づくりをしよう」という呼びかけのもと、『信州池田陶芸家十勇士会』が誕生した。ここ池田町出身の陶芸家、太田孝介さん(63歳)は、北アルプス・安曇野を一望する里山、池田町渋田見小丸に穴窯を築き作陶している。春夏秋冬、美しい安曇野の景色に囲まれながら作る大つぼや花器、酒器は、安曇野のような自然な素朴さと繊細な美しさを魅せている。

 

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