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THE信州 銘菓五稜郭 玉屋
 

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2022年 冬号 津南町 雪下にんじん / 春号 長野市 フォレストウェディング戸隠 / 夏号 須坂市 中井ぶどう畑 / 秋号 松川町 信州まし野ワイン

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2018年 冬号 高森町 市田柿 / 春号 松本市新奈川温泉 旅館鳥屋沢 / 夏号 小海町 たかちゃん・ふぁーむ / 秋号 飯山市 旬菜料理はたの

2017年 冬号 野沢温泉村 とみき漬物 / 春号 中野市 押鐘園 さくらんぼ / 夏号 松本市奈川 好きですね奈川 / 秋号 飯山市 角口酒造店

2016年 冬号 南牧村 野辺山霧下キムチ / 春号 小海町 珈琲焙煎工房2+1 / 夏号 佐久市 銘菓「五稜郭」玉屋 / 秋号 佐久穂町 りんごやSUDA

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2014年 冬号 須坂市 楠わいなりー / 春号 木島平村 オーベルジュ・グルービー / 夏号 栄村 山ぶどうバッグ / 秋号南相木村信州田舎暮らし

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2012年 冬号 池田町 陶芸 / 春号 白馬村 革バッグ / 夏号 津南町 染織 / 秋号 信濃町 暮らしの人形

2011年 冬号 白馬村 木彫りアート / 春号 須坂市 はんこ / 夏号 塩尻市 ボタニカルアート / 秋号 飯山市 シュガーアート

2010年 冬号 須坂市 ミニ和紙人形 / 春号 筑北村 木工スプーン / 夏号 松川村 古布手芸 / 秋号 池田町 バッグ

2009年 冬号 須坂市 まゆ人形 / 春号 布ぞうり・布スリッパ / 夏号 南相木村 機織り / 秋号 小海町 木彫り人形

2008年 冬号 中野市土人形 / 春号 松川村お面 / 夏号 信濃町南米民族音楽 / 秋号 佐久穂町創作リース

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この記事は2016年夏号です

銘菓五稜郭 玉屋
銘菓五稜郭 玉屋

商品に関するお問い合わせ先 株式会社 玉屋 本社・工場
〒385-0062 長野県佐久市根岸4070-1
TEL.0267-63-7707
info@kashi-tamaya.com

龍岡城五稜郭

国史跡に指定されている龍岡城五稜郭(佐久市)

 佐久市は、長野県下4つの平のひとつ、佐久平の中央に位置し、市の中央を詩情豊かな千曲川が流れ、浅間山、八ヶ岳、蓼科山、荒船山など雄大な山並みに抱かれた美しい高原都市。旧臼田町には、幕末本州で最後の城郭「龍岡城五稜郭」や、佐久の神社の総社と言われる「新海三社神社」など、歴史建造物が多く残っている。

 口径60cm反射望遠鏡などで本格的な天体観測と天文解説が楽しめる公開天文台「うすだスタードーム」では、毎晩天体観望会を開催(休館日はご確認を)。

 千曲川を中心に、佐久市臼田から田口地区を1周する「星のまちうすだ」シンボルロードには、星にちなんだ装飾があちらこちらにあり、道行く人の目を楽しませる。


 嘉永4年(1851年)、甲府から善光寺へ参拝する「善光寺街道」として栄えた臼田町(現佐久市)で、旅人に、お茶やお菓子を給した茶店としてスタートした玉屋。その後本格的な和菓子店として営み、明治時代には洋菓子へも取り組みを始めた。先代より大事に受け継がれ、現在では老舗菓子屋として地元の人たちに愛されている。

 

 洋菓子に取り組む際には、森永製菓の創業者と一緒に米国へ渡って勉強して来たといわれており、伝統の中に先進的な新しい考え方や物を取り入れていくという気風を引き継いでいる。

 

 11代目の井出健一さん(62歳)が菓子職人の道を歩き出したのは22歳のとき。

 

 先代であるお父様が「どうせ(息子は)長く続かないだろうから、一番厳しいところを紹介してくれ」と知人に頼み、東京梅ケ丘の洋菓子店での修行が始まった。本当に厳しい修行の日々だった。毎日、朝6時から夜0時くらいまで働き通し、特注が入れば、くたくたになりながらも、そのあと夜中に作るというハードスケジュールの日々を送った。

 

 ヨーロッパのお菓子屋を見てみたいという思いから、その後、ドイツで2年、スイスで約1年の修行を経て、29歳のとき後継者として玉屋へ入った。

 

 そうして、先代の後を継ぎ、昔ながらの味を現在に受け継ぐこととなった。

 

 玉屋の代表的銘菓「五稜郭」が誕生したのは、50年ほど前。井出さんがまだ小学生のころだった。そのころ、あまり売れ行きが良くなく、店は採算が取れなくなった。四国へ出かけて行ったお父様が何日も家に戻ってこなかったことから、「うちの店、もう辞めるんだろうな」と子どもながらに察した。

 

 しばらくして、ひょっこり帰ってきたお父様。「辞めるなんてとんでもない。おじいやから預かった大事な店。自分の代で辞めるのはダメ」
と、新たな商品として作り上げたのがこの「五稜郭」だという。

 

 銘菓「五稜郭」は、臼田にある幕末本州最後の城郭「龍岡城五稜郭」をモチーフにした乳菓で、発売されるや否や爆発的な人気菓子となった。

 

 日本に五稜郭と呼ばれる築城法により現存しているものは、北海道函館の五稜郭と臼田の龍岡城のみ。上空から見ると五角形の星型を形作っている。臼田では皆これを「龍岡城」と呼んでいたが、玉屋の銘菓「五稜郭」が話題になったことから、この城のことを「五稜郭」と呼ぶことを知り、以来、地元の人の生活にすっかり根付いたのだそう。

 

 臼田の人が県外で挨拶代わりに銘菓「五稜郭」を差し出すと、「五稜郭? 函館ですか?」と聞かれ、「いいえ、長野県の臼田です」と答える。そこから会話が弾むことから、地元の人たちの代表的手土産となっている。

 

 「五稜郭」が出来上がるまでには、いくつもの工程を重ねる。生あんを取り寄せ、まずは白あんを作る。そこに卵の黄身だけを混ぜて24時間以上、冷蔵庫で落ち着かせる。その間に、バターと卵、アーモンドプードルを混ぜた皮を作る。3時間以上寝かせる必要があるので、前日までに行っておく。翌日、機械にかけて包あんする。包まれて丸くなったものに、木の型で五稜郭の形をつけたら220度の窯で12分焼く。こうして焼き上がり、粗熱がとれたものは包装され、工場から店へ直送される。「作りたてもいいけれど、一日経つと、あんの湿気が皮に伝わって、しっとりしておいしいんだよ」と井出さん。

 

 時代の流れでお客さんの好みも変わってきており、初期のころより甘さが少しずつ控えめになってきている。材料の質へのこだわりは変わることなく、持ち続けている。

 

 「どんなお菓子でも、昔からのレシピに忠実に、当たり前のことを当たり前にやっていくといいものができる。あんこを煮すぎてもダメ、火を入れすぎてもダメ。風味がなくなってしまうからね。裏技があるとかではなく、素材の味を大切にしているだけ。50年間愛されている味なので、まだ食べたことない方にも、ぜひ食べていただきたい」。


銘菓五稜郭 玉屋

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