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2008年 冬号 中野市土人形 / 春号 松川村お面 / 夏号 信濃町南米民族音楽 / 秋号 佐久穂町創作リース

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この記事は2008年秋号です


工房ユトリエ
〒384-0704
長野県南佐久郡佐久穂町八郡
八千穂高原別荘1026
TEL/FAX.0267-88-2304


 「都会で見かけるリースはとても素敵だけど、私が使う材料とは違う。私が使うのはほとんどが、ここにある山で見つけた材料です。“今満たされているものでやってごらん”そう自然が言っているような気がするんです」と話す村上祥子さん。北八ヶ岳の東麓、自然豊かな八千穂高原に住み、創作リースを制作している。『工房ユトリエ』を構え、現在は昨年からリースづくりを始めたご近所の高橋正枝さんと一緒にリースを制作し、地元のお店などで販売をしている。

 緩やかな斜面の庭には山桜、もみじなどが植えられ、蝶や小鳥が飛び回っている。庭の斜面の下には、イワナやヤマメが釣れる渓流があり、霧がかかる時や夕暮れ時はとても幻想的だ。春から夏はみずみずしく茂った緑が庭に面した大きな窓に映え、窓を開ければサラサラと水の流れる音が沢から聞こえてくる。ここが村上さんのアトリエだ。乾燥させている濃いピンク色をした蕎麦の花やホオズキ、ラベンダー…。ハーブの香りが、部屋いっぱいに広がっている。マツボックリやドングリなどの木の実が、箱に分別され、ずらりと並んでいる。  

 「蕎麦の花などは、多く水分を含んでいるんです。一気に乾燥させる必要があるから、除湿器は欠かせないですね。リースづくりには、とにかくたくさんの材料があったほうがいい。何でも採ってみて、乾燥させてみる。使える使えないはそれから判断するんです」。常に材料をさがしている。だから散歩に出かけても、素材探しに必死になってしまい、前に進まないと言う。

 「きれいなマツボックリが落ちる年と、そうじゃない年、いろいろあるんですよね。冬になると、雪の上に落ちているんです。風が強かったり、雨が降った翌日は出番ですね。採りに行かなきゃと」。

 リースの土台はツルを輪っかに丸めたもの。アケビやウメモドキ、フジヅル、クズなどツルの種類も様々。どれも、この辺りで集めることができる。木に巻き付いているツルは、春のものだと葉を育てようとするため、水分をいっぱい含んでいる。そのため、春のものを使っても乾燥した時に細く、貧弱になってしまう。だから秋になると、なるべくたくさんのツルを準備しておくそう。そうして出来上がったツルの輪っかに、グルーガンという便利なピストル型の接着剤でマツボックリなどをくっつけていく。様々な種類の素材がセンス良く配置され、まるでケーキのデコレーションのよう。なるべく自然のままの色、アースカラーを大事にしつつ、適度な照りをだすために、ラッカー・スプレーを吹きかける。色が保たれ、ホコリもかかりにくい。

 「色褪せてしまったドライフラワーは、新しいバージョンに取りかえてみたりします。そうやって手をかけることで、十分ベースのマツボックリ君たちはがんばってくれるんですよ。ほんとにこの子達はいい子ですね。マツボックリが落ちていると拾わずにはいられないです」と村上さんは笑う。  

 二年に一度、八千穂高原の別荘に住む人達が出品する「別荘展」が開催されている。

 「だんだんと自分で作って飾っているだけじゃ物足りなくなってきて、誰かに見てもらいたいと思う。欲ですよね。でも、この欲のバランスで上達することもありますよね。自己満足だけでは、なかなか前に進めない気がするんです。それに今は、高橋さんというパートナーができて、違った刺激もありますね」と村上さん。   

 キャラゥエイというスパイスを練り込んだ、手作りのスコーンにルバーブジャムをつけてお茶の時間。どちらも近くに借りた畑で育てたものだ。自然に感謝する気持ちが、穏やかな時間を生む。おしゃべりを楽しみ、食事を楽しむ暮らし。そして、材料一つ一つに手をかけ、愛でて、リースづくりを楽しんでいる。  

 アトリエの大きな窓の向こうが、徐々にしっとりと秋色に染まる季節。そろそろクリスマスのリースを制作しようと、村上さんはあれこれとアイデアを練っている。



庭に面した村上さんのアトリエ。窓を開けると、沢から水の流れる音が聞こえる。
 
様々な形をしたリースは、どれ一つ同じものはない。クリスマスに向けての制作も始まる。
 
リースは松原湖温泉八峰の湯(小海町)、町の駅、花木園、黒澤酒造ギャラリーくろさわ(佐久穂町)などで展示販売されている。
 



白駒池の紅葉(佐久穂町・八千穂高原)

 北八ヶ岳の東麓に広がる佐久穂町・八千穂高原は日本一美しいといわれるシラカバが群生している。原生林に囲まれた神秘的な湖・白駒池をはじめ、駒出池、双子池、雨池など池めぐりが魅力であり、清々しい大自然に抱かれた高原だ。麦草峠(2,127m)を越えるメルヘン街道(国道299号)のワインディングに車を走らせると、標高1,200m付近に八千穂高原別荘地がある。
 村上祥子さんは約20年前、ここに別荘を建てた。自宅のある埼玉県とを何度も行き来していたが、10年程前に生活のベースをこちらに移し、ご主人と暮らしている。 散歩の途中で見つけたマツボックリやドングリ…。どんどんと増えていく自然のお土産は、村上さんの創作意欲をかきたて、リースづくりは始まった。
 「時間や手間はかかりますけど、こういう環境にいるからこそ私は創作したいと思いました。自然の恩恵を受けて、ここではアースカラーに満たされて過ごすことができるんです」。

 

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