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2013年 冬号 佐久穂町 きたやつハム / 春号 佐久穂町 八千穂漁業 / 夏号 南牧村 滝沢牧場 / 秋号 松本市・乗鞍高原 樽スピーカー

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2010年 冬号 須坂市 ミニ和紙人形 / 春号 筑北村 木工スプーン / 夏号 松川村 古布手芸 / 秋号 池田町 バッグ

2009年 冬号 須坂市 まゆ人形 / 春号 布ぞうり・布スリッパ / 夏号 南相木村 機織り / 秋号 小海町 木彫り人形

2008年 冬号 中野市土人形 / 春号 松川村お面 / 夏号 信濃町南米民族音楽 / 秋号 佐久穂町創作リース

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この記事は2013年春号です

八千穂漁業
〒384-0701
長野県南佐久郡佐久穂町畑126-2
TEL.& FAX. 0267-88-4185
(冷凍便での宅配もしています。)
佐久穂町農産物直売所「まちの駅」や
「ミート&デリカやまぐち」で燻製商品を発売したばかり(冷凍販売)
やまぐちでは刺身も販売。


 「最初に水産試験場で信州サーモンの稚魚を分けてもらったのが平成16年。初めての魚で、どうやって育てたら良いか手探り状態でした」と八千穂漁業代表の佐々木信幸さんは話す。

 “信州サーモン”とは、長野県水産試験場が約10年をかけて開発したマス類の品種。ニジマスとブラウントラウトの交配種でサーモンを思わせる銀色の身体と紅色の身が特徴。

 「まだ始まったばかりの魚だから、当時は誰も美味しい魚に育てるデータがなかったんです。食べてみて、そこそこ美味しいんですけど、比較対象がないからこれが100点のうち何点ぐらいなのか、その時はわからなかったんですね」。

 エサの種類や配分などを試行錯誤しながら飼い始め、バランスをみた。「時々すごくおいしくなって、もう1匹食べてみるとそうでもなかったりするんです。だんだんやっていくうちに、これとこれが良かったのかと分かってきました」。

 まずはエサ。味の濃い魚ではなく、口当たりがあっさりした魚なので、臭みには気を使っている。エサに脱臭効果がある炭の粉と木酢液を入れた。木酢液とは製炭の際に採れる煙りの成分が入った水で、土壌改良や野菜の肥料などにも使われている天然のエキス。この炭の粉と木酢液の入ったエサを与えた時の魚は、一番安定した品質になったという。

 「あと、やっぱり大事なのは水ですね」。

 大石川沿いに養魚場の一つがあり、川から直接取水している。大石川とは千曲川の支流。上流には民家や畑が少なく山の谷を水量は少ないが、混じりけの少ないきれいな水が、八ヶ岳から流れてくる。

  「湧き水の養魚場で最初は飼っていたのですが、 ちょっと臭みと渋みがあったので、試しに大石川の養魚場の池まで移し、1ヶ月してみたら、臭みと渋みが消えたんです。信州サーモンは出荷するまでに最低でも2~3年かかり、ここの池だと冬場はどうしても水温が下がってしまうので、湧き水の池で1年半ほど育て、出荷までの半年ほどは大石川の池で仕上げるようになりました」。  

 また魚の品質を保つ秘訣は、最終的にどうやって絞めるか。魚にストレスを与えないように注意する必要がある。パッと包丁を入れ、延髄と動脈を切り、水に入れて血抜きをする。またもう一つ大事なのは神経抜きをする事だという。

 「倍の手間がかかるし、信州サーモンにはあまり効果がないんじゃないかって言われたんですけど、やってみるとやっぱり品質の違いに手ごたえがあったんです」。

 魚の背骨上部には頭から尾まで幹神経が通り、そこから枝分かれをしている。魚を絞めるとその瞬間に魚は死ぬが、神経はしばらくの間生きていて、筋肉が小刻みに動き疲労してしまう。そうすると筋肉の中に乳酸菌がたまり、品質を落としてしまうので、細い針金を幹神経に通す手間は大事な作業だと佐々木さんは話す。

 八千穂漁業では昨年の暮れに新商品を発売した。信州サーモンのソフトスモークがその一つ。若手スタッフの佐々木隆文さん(28歳)が趣味で以前から燻製を楽しんでいた事から、信州サーモンを燻製にして商品にしたいという提案があった。商品開発、加工場の設置を行い2年越しで発売にこぎつけた。

 「私もそれまでレストランなどでは食べた事があったのですが、隆文くんが試作したスモークサーモンを食べて、それがびっくりする程美味しかったんです。これなら、と手ごたえを感じました」。  

 「何か佐久穂らしさを取り入れたい」と、八千穂高原のシンボル、白樺を燻煙材に使用。ナラとサクラの燻煙材に白樺をブレンドしている。その他材料には、口当たりの良いまろやかな天然塩、香り付けに使う日本酒は、地元の米を使った佐久穂町の蔵元「黒澤酒造」の“八千穂”を使用している。佐久穂町・八千穂高原のこだわりが詰まった商品になった。

 「これからは気軽に、信州サーモンを味わってもらえるようになったので、ぜひ多くの方に食べてもらいたい」と佐々木さんは話す。

 ここ数年、信州の旅館やレストランではメニューに加わる事が多くなり、今や“信州ブランド”として定着した信州サーモン。その秘めた美味しさは、一般家庭の食卓でも広がりつつある。




信州サーモンを持つ八千穂漁業代表の佐々木信幸さん。


八千穂高原のシンボル、白樺のチップなどを使って冷燻製(低い温度で燻す)したもの。美しい紅色。


「信州サーモンしらかばスモーク」1パック730円。「ヤマメ・イワナ温燻製」各730円。「ニジマス温燻製」525円。








佐々木隆文さんの趣味で始めた燻製からできあがった「信州サーモンしらかばスモーク」。
きれいな水で育つから脂に臭みがなく美味しいと話す。




白樺とトウゴクミツバツツジ
(佐久穂町・八千穂高原)

 北八ヶ岳の東麓に広がる佐久穂町・八千穂高原は日本一美しいといわれるシラカバが群生している。原生林に囲まれた神秘的な湖・白駒池など、八千穂高原は四季折々美しい自然に抱かれている。
 ここ佐久穂町に信州サーモンを養殖している「八千穂漁業」がある。八千穂漁業代表の佐々木信幸さん(57歳)は、養殖業の仕事を始めて約30年。9年前から信州サーモンの養殖を始めた。3カ所の養魚場があり、一つは八千穂高原へ向かう途中の大石川沿いにある。ここで信州サーモンの他、ヤマメ、イワナ、ニジマスを自然に近い環境で育てている。味に定評のある八千穂漁業の信州サーモンは、佐久穂町内のレストランをはじめ、軽井沢や首都圏のレストランなどでも使われている。八千穂漁業ではもっと気軽に信州サーモンを味わってほしいと新商品の販売を始めたばかり。

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