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この記事は2020年春号です

黒澤酒造
黒澤酒造株式会社

黒澤酒造株式会社

〒384-0702長野県南佐久郡佐久穂町大字穂積1400番地

TEL.0267-88-2002

http://www.kurosawa.biz

八千穂高原に広がる白樺林とレンゲツツジ

八千穂高原に広がる白樺林とレンゲツツジ(6月上旬頃)

 長野県の東部、南佐久郡に位置する佐久穂町。町の中央部を千曲川の清流が南北に流れ、その沿岸に沿って国道141号とJR小海線が走っている。北八ヶ岳を横断するメルヘン街道沿いの八千穂高原は「日本一の白樺群生地」と言われ、 約200haに50万本の白樺が植生している。初夏に咲くツツジと新緑とのコントラストは見事。中部横断自動車道が八千穂高原ICまで延伸し、アクセスがぐんと便利になった。
 
 JR小海線八千穂駅から徒歩3分の場所にある黒澤酒造は千曲川最上流の酒蔵。全量長野県産米で大吟醸から普通酒まで醸している。新世代の蔵元が醸す地域に根ざした酒は地元で愛され続け、『KUROSAWA』としてアメリカを主に、海外でも注目されている。


 長野県佐久穂町にある黒澤酒造は、1858年(安政5年)に創業し、銘酒「井筒長」を醸造する酒蔵。

 日本一長い川信濃川の上流千曲川の源流に近く、北八ヶ岳の麓に位置する自然豊かな場所にある。

 黒澤酒造は父である黒澤相談役のもと、長男で社長の孝夫さん(45歳)が主に販売やマーケティング、次男の洋平さん(39歳)が杜氏として酒造りを担当している。

 

 日本酒の主な原料は、米・水・米麹ととてもシンプル。そして成分の約80%は水でできている。黒澤酒造の仕込み水は、千曲川と八ヶ岳の恵みを受けた蔵内の深井戸2本から湧き出る水をブレンドしている。口当たりの柔らかな軟水で、ミネラルウオーターとしても販売している。

 創業当時から「地域に根ざした酒造り」を信念とし、長野県産米にこだわった酒造りをしている黒澤酒造。酒造りには、佐久穂町のある東信エリアを中心に契約栽培されたお米を使用している。品種は全て長野県発祥の品種。また孝夫さんは蔵の所在する風土そのものを醸したいと、15年ほど前から自社田での酒米造りも始めた。

 「収穫量は、使用する米全体の5%ほどです。蔵のある穂積という地籍の範囲でできると面白いかなと思って、ここから1kmほどの場所に田んぼが点在しています。自社田の米だけを使った酒も何本かつくっています」と社長の孝夫さん。

 弟の洋平さんは蔵元杜氏。広島の酒類総合研究所で醸造を学んだ後、6年ほど先代の杜氏(現在は顧問杜氏)のもとで働き、29歳の時に酒造りの現場の最高責任者である杜氏として酒造りをスタートした。

 

 「気候や米の出来は毎年違います。その年々の恩恵を生かし、与えられた条件、原料で安定した味に仕上げられるか。そういった緊張感があります。

 麹菌と酵母菌がうまく働けるように、手助けするのが私の仕事です」と洋平さん。

 

 昔ながらの生酛造りを続けている黒澤酒造。天然の乳酸菌を取り込んで生産する方法で、手間と時間がかかり、高い技術を必要とする。豊醇で力強い味わいとなり、日本酒の王道をいく本格派。生酛造りは江戸時代に確立した仕込み方で、明治期まではどの蔵元でもこの方法で酒造りをしていた。やがてもっと短い手間や時間で造れる近代的な酒造り(速醸酛)が開発されると多くの蔵から生酛造りが消えていったそう。

 現在、若い造り手が増え、生酛造りを手がける蔵元も増えている。黒澤酒造もその一つ。孝夫さんと洋平さんが家業を継いだ頃には1割2割ほどだった生酛造りの醸造を現在は6割ほどに増やしてきたという。

 

 「生酛造りの方が、味がどっしりとしていて食中酒向きだと思います。

 食事と相まっておいしさを引き出し合える、飲み飽きない酒を造りたい」と洋平さん。

 

 黒澤酒造には「八千穂美醸会」という黒澤酒造のファンクラブともいえる集まりがあり、毎年約80名の会員が、田植えから稲刈り、そして会専用の樽で仕込み体験をする。

 「田植えや稲刈りは家族で参加されたり、わいわいと楽しいですよ。仕込んだ新酒ができたら懇親会をしたり、あまり他にはない体験ができると思います」と社長の孝夫さん。

 

 昔ながらの伝統を守りつつ、改良を重ねその価値を磨いていく。地域に根ざした文化を大切にした黒澤酒造の酒は地元に愛され、世界へも広がっていく。


黒澤酒造株式会社

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