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この記事は2021年春号です

信州の人と物産
高橋助作酒造店

株式会社髙橋助作酒造店

〒389-1313 長野県上水内郡信濃町大字古間856番地1

TEL. 026-255-2007/ FAX. 026-255-3366

野沢温泉スキー場

斑尾山麓から望む春の黒姫山と野尻湖

 長野県の北端中央に位置する信濃町は、北信五岳と言われる戸隠・飯縄・黒姫・妙高・斑尾の信仰の山々に囲まれ、斑尾山麓には周囲約17kmの野尻湖もあり、妙高戸隠連山国立公園に属する風光明媚な大自然が広がっている。夏は避暑地として野尻湖で釣りやウォータースポーツ、冬は眺望抜群の中でウィンタースポーツが楽しめ、森林セラピー“癒しの森”、ノマドワークなども注目されている。

 ここ信濃町唯一の造り酒屋「髙橋助作酒造店」は、創業145年を迎えた老舗で、銘酒 『松尾』は地域の人々に愛されてきた地酒。スカイツリーの高さと同じくらいの標高にある信濃町での酒造りは「冷涼な雪国の気候ですが、積雪が良質な水環境をもたらし、夏の昼夜の温度差は稲など農作物の生育に役立つ、この自然環境が美味しい日本酒造りに欠かせません」と髙橋邦芳社長は話す。


 「五穀豊穣と安寧を祈り、そして感謝する。日本酒を造ることは、この“祈りと感謝”の想いをカタチにする特別なことであり、代表銘柄は、この様な想いの美酒を醸せるようにと、醸造の神様にちなみ『松尾』と名付けられました」と、醸造元 髙橋助作酒造店、5代目の髙橋邦芳社長は話す。創業は1875年(明治8年)、信濃町では唯一の造り酒屋になる。

 

 日本酒造りには、原料のお米の栽培にも仕込み水にも大量の水が必要になる。だからこそ、水は、酒の美味しさや個性につながる重要な要素。

 

 「仕込水は、戸隠神社奥社の鳥居付近を水源とする“鳥居川”水系の湧き水を創業から使用しています。興味深いのは、戸隠はクジラやホタテ貝の化石が見つかる海底火山などが隆起した特殊な地域で、そこから“鳥居川”が飯縄山と黒姫山の間を流れ出る事によって信濃町の扇状地になり、稲作や酒造りの礎になっている事です」と邦芳さん。

 

 信仰の山々に降った雨や雪が土に染み込み地下水となる。幾重もの地層でろ過された湧き水は、ミネラル分を含むまろやかな軟水で、まさに自然の恵みそのもの。

 

 「日本酒造りが盛んだった明治時代、町に7、8軒ほど酒蔵があり、善光寺平の北に位置するので北山酒と言われていました。信濃町の酒造りの最盛期には県下ではだんとつの出荷量があったんです」と代表取締役会長で88歳になる髙橋博さん。

 

 「ここは寒く低温発酵に適し、空気がきれいで乾燥しているからこそ、コウジの菌が蒸米にぐいっと入り込む。この冷涼な雪国の気候が、いい酒になるんです。今では冷却や空調など機械で操作できるけれど、ここでは自然の力でそれができてしまう。酒造りに適している場所なんだと思います」と会長は語った。

 

 社長の邦芳さんは、「近年特に挑戦してきた事が三つあります。その一つは、気候条件に合った品種の酒米を“地元契約栽培”する事。2009年前後から信濃町での契約栽培に取り組んできましたが、2020年の今期は、地元 信濃町と戸隠地域の農家さんに全量を契約栽培して頂く事ができました」と話す。

 

 そして「二つ目は、“新しい品種の酒米”に挑戦して上質な日本酒を造る事。気候温暖化などで酒米にも年によって影響が見られるようになり、2007年度から全量長野県産米を使用、特に長野県の酒米美山錦を主体に使ってきましたが、2020年度は、全ての日本酒に“地元契約栽培”した新しい品種の“山恵錦”(さんけいにしき)を100%使用しています」。

 

 この“山恵錦”は、2020年にようやく品種登録された長野県が育種した信州の新しい酒米。信濃町のような準高冷地での栽培に適した品種で、同蔵では、この新品種の試験栽培と醸造に2013年当初から継続参加し、酒米としての評価がまだ定まらない2018年に山恵錦を100%使用した純米大吟醸で三冠(全国新酒鑑評会 金賞、関東信越国税局 優秀賞、長野県 知事賞)を最初に受賞している。

 

 試験栽培と醸造は、「自己責任が前提にあり試行錯誤の連続でしたので、その可能性を認めて頂く事は想像以上に過酷でしたが、県農業試験場や食品バイオ部、信州大学などの先生から心強いサポートを頂きとても感謝しています」と振り返る。

 

 「三つ目の挑戦は、日本酒のテロワールを探究することです。弊社には、“鳥居川”水系の水源地域にちなんだ日本酒『戸隠』が1917年からありますが、更にテロワール(固有の個性を与える自然環境の特徴)の思想に基づき、酒米の品種や栽培地域、醸造方法などを限定し、2011年度に栽培地域名を付けた日本酒『荒瀬原』、その後、『斑尾』『上水内』も発売。今後も気候、土壌、水質などの自然環境に基づく個性を探求し、それぞれの栽培地域や水系をより表現できる日本酒を造っていきたいと思います」と語る。

 

 髙橋助作酒造店では、『松尾』など日本酒の他、リキュールも製造している。地元 黒姫高原牧場の新鮮なヨーグルトと純米酒をブレンドした『信乃大地 黒姫高原ヨーグルトのお酒』を2012年に発売、その美味しさは口コミでじわじわと広がった。アルコール度数も5%と低く、普段日本酒を飲まない若者や女性にも喜ばれている。また、地元特産のりんごを贅沢に使った『信州りんごのお酒』も人気。


富屋酒店

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